第07回 安全運転管理者の業務内容ってどんなものがあるの?②
一定台数以上の自動車を所有する企業等は、安全運転管理者等を選任し届け出なければなりません。自動車の安全な運行に重要な役割を果たす安全運転管理者ですが、その業務内容にはどのようなものがあるのでしょうか?前回に続き安全運転管理者の業務内容を見ておきましょう。
安全運転管理者が行う「異常気象時等の措置」とは?
近年、国内各地で大型台風の上陸、梅雨時期の大雨、突然のゲリラ豪雨、さらに冬場の豪雪などの異常気象が数多く発生しています。
これらの異常気象が発生した場合、企業等で選任された安全運転管理者は運転者が安全に自動車を運転できるようにするために、運転者に対する異常気象発生時の安全運転の教育を実施したり、自動車の運転を控える指導を行ったりする必要があります。さらに、異常気象時に自動車が安全に走行できるように、自主点検を指示する等の業務も行わなければなりません。
特に近年冬場に多く見られるゲリラ的な豪雪により、トラックが長時間の立ち往生を余儀なくされるケースが増えています。そういった事態を避けるためにも、冬用タイヤの点検等は欠かすことができない冬場の異常気象への対策と言えます。
安全運転管理者が行う「点呼と日常点検」の方法とは?
安全運転管理者の業務の一つに、点呼と日常点検という項目があります。これは飲酒や過労等で正常な運転ができない恐れの有無を確認し、車両が安全な運転に耐えられる状況にあることを把握するためにも重要な項目です。
具体的な点呼方法としてはチェックリストによる方法が一般的です。運転者の二日酔いの有無や睡眠不足等の健康状態を確認し、飲酒運転や過労運転を防止します。
日常点検も車両ごとに運転者に点検させ、日常点検記録を作成させます。エンジンルームをのぞき、ブレーキ液の量、バッテリー液の量、冷却水の量、エンジンオイルの量などを点検します。タイヤ周りについては、タイヤの空気圧、溝の深さ、亀裂の有無、異物の刺さりの有無などを調べます。
また、運転席に入り、ブレーキペダルの踏み込み具合、エンジンのかかり具合、ウィンドウウォッシャー液の出具合、ワーパーの拭き取り状況などを点検します。
安全運転管理者が行う「運転日誌の備え付け」とは?
安全運転管理者の業務の一つに、運転日誌の備え付けという業務があります。運転日誌に記録させる項目としては、使用日時、使用者及び所属部署、行き先、使用の目的、走行前の距離数、走行後の距離数、車両の異常や給油状況などとなっています。
この運転日誌は社有車すべてに備え付けたうえで、運転を終了した運転者に記録させます。安全運転管理者はこの社有車ごとの運転日誌を定期的に回収し、走行距離を中心に運転状況を把握します。
最近はドライブレコーダーの技術が進化し、上記のような必要事項が記録されるドライブレコーダーも登場しています。これを活用すれば運転者の負担は軽くなります。
なお、運転日誌の保存期間についての定めはありません。しかしながら、労働基準法では労働関係にかかる重要な書類は3年間保存となっているため、運転日誌も3年間の保存が望まれます。
安全運転管理者が行う「安全運転指導」の方法とは?
安全運転管理者は運転者に対する指導も行わなければなりません。この場合、自動車の運転に関する技能、知識、その他安全な運転を確保するのに必要な項目について指導することになります。
安全運転の指導においては、運転者各人の運転特性や性格に応じた指導が求められます。運転の熟度や性格が違う運転者に安全運転を徹底させるためにも、各運転者の運転特性を把握するための取り組みが必要となります。
また、実際の走行ルートに基づいた安全運転指導も必要となります。各運転者が普段走行するルートでの大事なポイントをイメージするための安全運転指導が求められます。
特に新人の運転者に対しては、安全確認しなければならないポイントをはっきり意識させるために、声を出して確認させることは大事です。
また、運転に集中できる環境を作るように指導することも必要です。そして、実際の走行に際しては時間にゆとりをもって早めに出発させるよう指導することも必要です。
安全運転管理者が行う「運転前後のアルコールチェック」の方法とは?
重大事故を防止するためにも、飲酒運転はやってはなりません。それを防ぐため、安全運転管理者は運転前後に運転者のアルコールチェックを行います。
アルコールチェックの方法としては、目視での確認として、運転者の顔色・呼気の臭い・応答の声の調子等のチェックと、アルコール検知器によるチェックがあります。
対面で行うのが一番よいのですが、それができない場合もあります。そんな時は、運転者にあらかじめ携帯型のアルコール検知器を持たせておき、カメラやモニターもしくは携帯電話などにより声の調子を把握した上で、運転者本人にアルコール検知器チェックを行ってもらう方法があります。
また、不在などの理由で安全運転管理者による確認が困難な場合は、副安全運転管理者または安全運転管理者の業務を補助する者がチェックを代行することもできます。
安全運転管理者の業務内容について②
一般的に、走行距離が増えれば増えるほど交通事故の可能性は高まります。交通事故の中には避けにくいものもありますが、しっかりとした安全運転管理ができていたら防げる事故も少なくありません。そのためにも交通安全管理者は天候の異常が起こった時にも、慌てず対応できる措置を取れるよう指導しなければなりません。
点呼と日常点検、運転日誌の備え付け、運転前後アルコールチェックは、運転という作業の一部としてルーチン化しなければなりません。そして、安全運転管理者は運転者各人の運転特性や性格に応じた安全運転指導を行う必要があります。
安全運転管理業務は面倒な部分もありますが、交通事故を起こした時の手間や時間の浪費を考えれば些細なことですので、しっかりと対応しましょう。