コラム

2026.03.19

人手不足倒産が増えている理由とは?黒字企業にも広がる人手不足倒産の背景と対策

「人手不足倒産」という言葉を、ニュースで目にする機会が増えています。

仕事がないからではなく、人がいないことを理由に事業を続けられなくなる―そんな人手不足倒産が相次いでいます。特に影響を受けているのは、中小企業です。従業員数が少ない企業ほど、たった1人の退職が経営に与える影響は深刻です。

「うちはまだ何とか回っている、今すぐ倒産の心配はない」―そう感じている企業ほど、実はこの問題は身近に迫っています。

人手不足倒産の多くは、ある日突然起きるものではなく、徐々に進んでいた人材流失の結果として表面化します。日々の小さな変化や違和感を見過ごしたまま、気づいたときには事業を維持できない状態になっているケースが増えているのが現状です。

本コラムでは、人手不足倒産がなぜ起きるのか、その背景にある現場のリアルと、今からでも取り組める対策の方向性について整理していきます。

課題|人手不足倒産は、人が減っていく現実から始まる

人手不足を想起させる画像

人手不足倒産という言葉は、単に「採用ができない」という話ではなく、従業員が離職・退職していくことの積み重ねによって人員が確保できず、経営を苦しめている状態を指します。

実際、帝国データバンクの調査によれば、2025年度上半期(4〜9月)に従業員の離職や採用難などを要因とする人手不足倒産は214件にのぼり、上半期としては3年連続で過去最多を更新しました。こうした倒産は、大企業ではなく、中小企業や労働集約型の事業者に、多く見られます。

例えば、道路貨物運送業や介護・福祉サービス、建設業などでは、慢性的な人手不足が事業継続に直接影響していることが明らかになっています。

参考:PR TIMES 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度上半期)」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001163.000043465.html

退職者が出ると、業務量は残った従業員にのしかかります。負担が増え、休みが取りにくくなり、現場の疲労が蓄積していきます。この慢性的な負担の増加が「離職の連鎖」を生み出す構造は、データで示されています。

帝国データバンクの調査によると、2024年に発生した人手不足倒産のうち従業員の退職が要因となった「従業員退職型」の倒産は87件発生し、前年から約3割増加したとされています。特にサービス業や建設業、運輸・通信業などで目立っています。

参考:物流ニュースLNEWS「従業員退職型の倒産/過去最高の87件発生、運輸・通信業は初の10件越え」
https://www.lnews.jp/2025/03/r0310301.html

採用活動をしていても、人が定着しない現場では人手不足が慢性化します。少しずつ人材が減っていくことで、「仕事の受注はあるのに請けられない」状態が生まれ、結果として売上の機会損失や現場の疲弊を招きます。

こうした状況は、決して特定の企業だけの話ではありません。人手不足倒産には、採用競争だけでなく、人が定着しないことが深く関わっているのです。そしてこの見えにくい減員のプロセスを放置することが、やがて企業の存続リスクを高めていきます。

解決|人を増やす前に、離職を防ぐ視点

人手不足倒産の課題と解決の流れを示す画像

人材不足の対策として真っ先に思い浮かぶのは「採用活動の強化」です。求人の出し方を工夫したり、条件を見直したりして応募数を増やす取り組みは大切です。

実際、日本企業の多くが人材確保を重要な経営課題として認識しており、中小企業においても不足感は高止まりしています。中小企業庁の発表によると、2024年時点で人材が「不足している」と回答した事業者は63.4%で、特に製造作業者・販売従業者・サービス職業従業者・運輸従業者・建設作業者といった現場作業に従事している「現業職」の人材不足が顕著です。また、人材が「不足している」と回答した事業者と「不足していない」と回答した事業者が直近3年間で採用した従業員の定着率「3割未満」の割合を比較すると、「不足している」と回答した事業者の方が6%高い結果となっています。

この結果からも、人材不足の企業では、採用した人材の定着率が低くなる傾向が明らかになっており、中小企業が人材確保に苦戦している一因が、定着率の低さだということがわかります。

参考:中小企業白書 2025年版|第4節 人材戦略 — 中小企業の人材不足・定着率の実態分析(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b2_1_4.html

そして、人材採用だけでは解決しきれないのが「離職」です。中小企業の多くでは、中途採用者の早期離職が大きな課題になっているとする調査があります。給与アップ研究所の調査では、中小企業の65%以上が、中途採用者の入社後3年以内の離職を経営課題と認識しており、主な要因として「業務内容とスキルのミスマッチ」が挙げられています。

参考:HRzineニュース「中途採用の早期離職」に中小企業の65%が課題を認識 主な要因は「ミスマッチ」—給与アップ研究所調べ
https://hrzine.jp/article/detail/6687

さらに、厚生労働省の「雇用動向調査」によると、中小企業(従業員100~999人)の平均離職率は概ね16%~19%と、大企業に比べて高い傾向にあります。業種によっては、宿泊・飲食サービス業(26.6%)や、生活関連サービス業(28.1%)など、離職率がより高い分野もあります。

参考:HR pentest「中小企業の平均離職率は?大企業より高い原因と離職防止の対策も解説」
https://ameand.co.jp/service/hr-pentest/contents/sme-retention

離職者が多いと、採用コストがかかるだけでなく、生産性や社内の雰囲気にも影響があります。離職を防ぐためには、「採用=ゴール」と考えるのではなく、採用後の定着を支える仕組みづくりが不可欠です。

具体的な定着・離職防止策として、次のような取り組みが企業や現場で成果を上げています。

ワークライフバランスを想起させる画像

働き方の柔軟化と職場環境の改善

残業削減、有給取得促進、フレックスタイム制や在宅勤務の導入など、ワークライフバランスを改善する取り組みが離職率低下に寄与しています。こうした施策により、従業員の安心感や働きやすさが高まり、定着につながりやすくなります。

多様な人材の活用

シニア・外国人など多様な人材を積極的に採用し、柔軟な勤務制度を整備することで、従業員層の幅を広げる企業が増えています。また、多様性を受け入れることで職場に新しい視点や価値観が入り、従業員同士の学びや刺激が生まれるというメリットもあります。

多様な人材の活用を想起させる画像
鈴与シンワートコラム紹介|外国人労働者を育てて定着させるには?
社内コミュニケーション・エンゲージメントの強化を想起させる画像

社内コミュニケーション・エンゲージメントの強化

定期的な1on1ミーティング、意見交換の機会の設定、社内SNSを使った情報共有などでコミュニケーションを活性化させる企業が増えています。こうした施策は、従業員の帰属意識や安心感を高め、離職率を下げる効果が期待できます。

教育・キャリア支援の充実

入社後のスキルアップ研修、キャリア面談、社内メンター制度などを実施することは、従業員の成長実感を高めます。従業員が自身のキャリアパスを描ける環境は、長期的な定着につながる重要な要素です。

社内の教育・キャリア支援の充実を想起させる画像
クラウドサービスの活用を想起させる画像

クラウドサービスの活用

サーベイを定期的に実施したり、分析ツールを導入し、従業員の状態や不満の兆候を可視化する取り組みが注目されています。こうしたデータを活用することで、離職リスクの兆候を早期に察知し、フォローアップや制度改善につなげることが可能になります。

これらの施策のように、採用活動による人材確保に加えて、採用した人材が定着し、長く活躍できる環境をつくることは、人手不足倒産のリスクを下げるうえで極めて重要です。ここに着目することで、人手不足対策は単なる「人を補充する活動」から、「人を守り育てる取り組み」へと転換することができます。

人の変化に気づき、定着につなげる仕組み「ここレポ」

「人手不足への対策」を考えると「どうやって人を集めるか」に目が向きがちです。そこで多くの企業は、採用強化や育成投資に加えて、システム導入による業務効率化、労働時間の短縮、多様な人材が活躍できる環境づくりなど、魅力的な制度を導入する取り組みに焦点を当てます。

しかし現実には、こうした施策を講じても人手不足が解消されない企業が少なくありません。その背景にあるのが、確保できた人材が定着しないという問題です。

好条件で採用しても、現場での小さな不満や違和感、不調を見過ごし続けると、従業員は誰にも相談せず静かに離職の準備を始めてしまいます。

多くの場合、退職は突然起きるものではなく、その前には「少し疲れている」「モチベーションが下がっている」といった目立たない変化が積み重なっています。人手不足対策で本当に重要なのは、新しい人材を1人採用することよりも、今いる従業員の1人を辞めさせないことです。採用は短期的な施策ですが、定着は日々の積み重ねです。そのためには、従業員の変化に早く気づき、声をかけ、フォローできる仕組みが欠かせません。

ここで活用できるのが、従業員の状態を日常的に把握するためのクラウドサービス「ここレポ」です。

「ここレポ」は、勤務前後の簡単なサーベイや顔写真の記録を通じて、従業員一人ひとりのコンディションの変化を「見える化」できる仕組みです。体調や気分、表情といった、数値化しにくい情報を日々データベースに蓄積することで、管理者が「いつもと違う変化」に気づきやすくなります。

また、「ここレポ」は、従業員にとっても負担の少ないシンプルな設計で無理なく続けられる点がポイントです。従業員の勤務前後に「その時の調子」を記録するだけで、管理者は日々の小さな変化を見逃さずに拾い上げることができます。こうした「気づきの積み重ね」によって、早めの声掛けや業務調整、フォローが可能になり、結果として離職予防、つまり人材の定着につながります。

鈴与シンワート|従業員エンゲージメント向上支援サービス「ここレポ」

従業員エンゲージメント向上支援クラウドサービス「ここレポ」は、従業員の定着に向けた小さな気づきを見落とさないためのツールとして、人手不足倒産に陥らないための企業経営を支える選択肢の一つとなります。

人手不足倒産についてのまとめ

「仕事の受注はある。取引先もいるし、やるべき業務もある。しかし、人手が足りず、仕事を断らざるを得ない。」

この矛盾した状況こそが、いま多くの企業が直面している「人手不足倒産」の入口です。

人手不足倒産は、業績不振や需要減少だけが原因ではありません。むしろ、業務が回らなくなった結果として起こります。そしてその背景には、採用難だけでなく、人材が定着せず、「サイレント退職」してしまうという現実があります。

システム導入や業務効率化、多様な人材活用、採用や育成への投資は、どれも正しい人手不足対策です。しかし、それらの施策が十分に活かされるためには、現場で働く従業員の状態をきちんと把握できていることが前提です。

人手不足の時代において、新しい人材を採用すること以上に重要なのは、今いる従業員が「ここで働き続けたい」と感じられる環境をつくることです。離職は突然起きるものではありません。その前には必ず、疲れや不満、違和感といった小さな変化があります。そのサインにいかに早く気づき解決できるかが、従業員が定着する会社であるかどうかを分けます。

鈴与シンワートが提供する従業員エンゲージメント向上支援クラウドサービス「ここレポ」は、そうした小さな変化を見落とさないためのサービスです。従業員を管理するためではなく、大切な人材を支え、定着につなげる仕組みづくりのツールとして、「人手不足倒産」を防ぐ一助になります。

仕事の受注がある今だからこそ、従業員がいなくなる前に、できる備えがあります。人手不足倒産を他人事にしないための一歩として、「ここレポ」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

鈴与シンワート従業員エンゲージメント向上支援クラウドサービス「ここレポ」では、人事担当者に役立つ機能や業務サポートに力を入れています。お気軽にお問い合わせください

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著者

「ここレポ」サポート担当

「ここレポ」サポート担当

働き方の多様化に伴い在宅勤務が定着し、企業は従業員の定着や業務改善につながる従業員のモチベーションアップが課題となっています。
この課題解決方法の一つとして、従業員のエンゲージメント向上が有効とされ注目を集めています。
従業員が元気に安心して働ける環境づくりと多様化する働き方を支援するためのサービスや、課題解決へのヒントをお伝えしていきます。
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