外国人労働者を育てて定着させるには?心身ケアと教育を支援する仕組み
日本では少子高齢化や人手不足を背景に、外国人労働者の採用が急速に進んでいます。厚生労働省によると、令和7年10月末時点の外国人労働者数は約257万人で、平成19年以降過去最多を記録しており、労働市場における存在が次第に大きくなっています。製造業、医療・福祉、サービス業などの業種では、すでに欠かせない存在となっており、今後も人材確保の手段として重要性が高まっていくことが予想されます。
参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html
『別添2 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年 10 月末時点)【本文】』
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001646130.pdf
しかし、実際に外国人労働者を採用している現場では、「採用できたこと」による人手確保がゴールではなく、その先で新たな課題に直面するケースが少なくありません。管理者の多くが特に頭を悩ませているのが、技術などの仕事内容を覚えてもらうことよりも、日々のコミュニケーションの難しさです。実際に、外国人従業員と働いたことのある日本人のうち、約半数が「職場でのコミュニケーションに困難を感じた」と回答した調査結果もあります。その中で課題として挙げられたのは、単なる言語の壁だけでなく、文化や習慣の違いを背景とする誤解やすれ違いといった“目に見えない摩擦”でした。
一方、外国人従業員側にも同じ悩みが存在します。実際に、日本で働く外国人労働者130人へのアンケート調査から、8割を超える人が日本人社員とのコミュニケーションに不安や難しさを感じていると回答したデータもあり、決して片側だけの問題ではないことがわかります。
参考:外国人雇用マネジメントラボ「外国人社員が職場に馴染めないのはなぜ?文化の違いから生まれる誤解と解決策」
こうした意思疎通のズレは、業務の停滞やミスにつながるだけでなく、職場の雰囲気悪化や離職リスクにも影響します。「採用には成功したのに、定着する前に辞めてしまう」という状況は珍しくありません。
このような現場で起きている課題は、仕事の難しさではなく、「伝える」「受け取る」というコミュニケーションの構造的な問題です。この壁をどう乗り越えていくかが、外国人労働者の採用が進む日本にとって重要なテーマになりつつあります。
本コラムでは、外国人労働者とのコミュニケーションにおける課題を整理しながら、文化や価値観の違いに起因するすれ違いの正体を掘り下げます。さらに、外国人従業員がより働きやすく、離職せずに成長していくための実践的なヒントについても触れていきます。外国人労働者の採用や育成の参考にしていただければ幸いです。
目次
言語だけではない──文化・価値観のギャップが生む壁
外国人従業員とのコミュニケーションで最初に問題として挙がるのは「日本語が十分に通じないこと」です。しかし、実際にはそれだけが原因ではありません。むしろ、文化や価値観の違いによるギャップの方が、日々の業務に大きな影響を与えることがあります。

日本の職場では、相手の意図を汲み取ることや、暗黙の了解で成り立つ場面が少なくありません。「言わなくてもわかるよね」「察してほしい」という前提で、仕事の指示や報連相(報告・連絡・相談)にも“言葉で説明されない情報”が含まれることがあります。しかし、こうしたコミュニケーションスタイルは日本人同士では自然でも、海外出身の従業員にとっては理解しづらく、誤解やストレスの原因になります。
実際に、外国人従業員と協働する日本人社員431名を対象にしたアンケート調査では、「勤め先の外国籍社員が、職場で何となく孤立している・孤独感を抱いていると感じたことがある」と答えた人が60.1%でした。そのうち62.5%は、主な原因が「日本の職場における暗黙のルールや習慣への適応の難しさ」であると答えています。このことから、6割を超える日本人社員が、文化や習慣の違いからのすれ違いによる外国人従業員の孤立を懸念していることがわかります。
参考:訪日ラボ「6割が外国籍社員の孤独感を懸念:外国籍社員のコミュニケーションに関する実態調査」
https://honichi.com/news/2024/09/30/foreignemployee_communication/
管理者の立場としては、この違いを理解し、価値観や働き方の前提を共有など適切にサポートすることが、外国人従業員の定着や戦力化に向けて非常に重要になります。
日本人特有のコミュニケーションが外国人に伝わりにくい理由
ここでは、現場で「日本人特有のコミュニケーション」がどのように受け取られているのかを整理していきます。
前章でも挙げたように、日本の職場では日常的に「状況を読み合う」「空気を汲む」といったコミュニケーションが期待される場面が多く、ここが外国人にとって大きな負担になることがあります。厚生労働省による調査では、日本人社員側の外国人への期待として「職場では空気を読んでほしい」「日本のビジネスマナーを身につけてほしい」といった項目が70%以上で挙がっていて、日本人の暗黙の同調圧力や規範意識の高さが伺える結果です。これらのデータから見えてくるのは、ビジネス上の暗黙のルールや文化的な前提は重要なポイントであり、これらを理解しないまま日々の仕事を進めることは、外国人従業員のストレスや孤立感の一因になり得るという点です。
参考:
厚生労働省「令和4年度厚生労働省委託外国人労働者安産管理支援事業(外国人在留支援センター)外国人労働者安全衛生管理の手引き」
https://h-chuokai.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/001124694.pdf
実際、多くの外国人従業員は具体的な指示や明確な説明がないと不安を感じやすい傾向にあり、「日本人特有のコミュニケーション」がうまく伝わらない場合、誤解や摩擦に発展してしまうことがあります。もちろん、日本人同士では自然に成立している思いやりや気遣いも、外国人従業員にとっては「何を期待されているかわからない曖昧さ」として映ることがあるため、管理者が明示的に説明したり、共通言語としてまとめて共有したりする工夫が大切です。
職場で表面化するコミュニケーションのズレとその影響
コミュニケーションスタイルに違いが存在すること自体は前章で述べた通りですが、より重要なのは、それらの違いが現場の業務でどのような形で表面化しているかという点です。
実際、人材総合サービスを全国で展開する企業が実施した調査によると、外国人と一緒に働いたことのある人の約45.8%が「コミュニケーションで困ったことがある」と回答しています。その要因には「言葉の問題」や「日本語力の不足」、そして「日本のビジネスマナーや商習慣の知識不足」が挙げられています。こうした調査結果からも、コミュニケーションのすれ違いが、日常のやり取りや業務に直接影響を与えていると推測できます。
参考:PRO-NET「職場における外国人活用とコミュニケーションに関する実態調査」
https://service.jinjibu.jp/news/detl/23658/
これは単なる語学の壁に留まりません。外国人従業員と日本人社員の双方にとって、仕事の前提や期待値が一致していないと、些細なやり取りでも大きなズレになってしまうという現実が背景にあります。

具体的には、上司への報告タイミングや内容についての期待値が共有されておらず、意図が正確に伝わっていないまま作業が進んでしまう、日本語能力は高いものの専門用語や業界特有の言い回しが理解できない、質問したいのに遠慮してしまうなどの状況の発生です。また、フィードバックの場面でも、「良くないことを遠回しに伝える日本人特有の言い方」が外国人従業員にはわかりづらく、改善点が把握できないまま不安だけが残るという声もあります。こうしたズレは、誰かの不満として表に出ることは少ないものの、業務の生産性や連携の質にじわじわと影響し、最終的にはミスや誤解、そして孤立感につながっていきます。
特に外国人従業員にとっては、言葉の不安や文化的理解不足に加え、「聞き返すことへの遠慮」や「日本のやり方を壊してはいけない」という心理が働くケースもあり、結果としてストレスを招く可能性があります。このように、文化や伝え方の差によって生まれる小さなすれ違いが、“目に見えない負担”として蓄積し、離職や戦力化の遅れにも関係していきます。
外国人従業員の定着や育成を考える上で重要なのは、単に言語や文化の差を認識することではなく、「日々の業務に現れる小さな違和感を見逃さず、ケアしながら育てていく仕組み」を持つことです。
しかし、現場では言語の壁に加えて、指導する側のキャパシティの問題から個別フォローが難しく、相談や報告が遅れ、結果として支援が手遅れになってしまうケースは珍しくありません。
外国人従業員の定着とコミュニケーション管理に有効な「ここレポ」
外国人従業員の採用後、「体調不良に気づけない」「日本のビジネスマナーが伝わらない」「文化的背景の違いでコミュニケーションが噛み合わない」といった状況は多々あります。こうした課題を解決する手段の一つとして有効なのが、従業員の出勤前後に心身の状態を把握し、管理者のフォロー業務を支援するツール「ここレポ」です。
「ここレポ」とは、勤務前後のサーベイと顔写真記録によって、従業員の体調や気分の変化を日々記録できるサービスです。管理者は蓄積されたデータを通して“いつもと様子が違う”サインを早期に把握できるため、声かけや面談につなげるタイミングを逃しにくくなります。特に、外国人従業員は体調不良や不安を自分から直接伝えづらい傾向があるため、「ここレポ」の報告機能の活用が有効です。
さらに、「ここレポ」の報告機能は、教育や育成の支援にも活用できます。
例えば、「今日の日本語テスト」や「日本のビジネスマナーテスト」として口頭や朝の報告に対する返信コメントで上長が問題を出題し、勤務終了時の報告の際に従業員に回答を入力してもらうといった運用が可能です。上長はその回答に対しての返信で、訂正やアドバイスすることができます。
「ここレポ」は、上長と従業員が1対1でやり取りするため、ほかの従業員に見られる心配もありません。一人ひとりの従業員の理解度を可視化し、記録を蓄積していくことで、各従業員の理解度に沿った対応が可能です。
「ここレポ」を活用するメリットは、単なる日常の報告をするためだけでなく、曖昧にしていた「日本のビジネスマナー」について言語化して共有できる点です。従来のように、業務中に都度指摘するといったコミュニケーションに加えて、外国人従業員を“育てる”観点での関わり方が可能になります。
このように、「ここレポ」は外国人従業員にとっても気持ちや状況を伝えやすいツールであり、管理者側にとっては従業員の「心身のケア+育成+トラブル対応」を一元管理できるツールです。結果として、コミュニケーションのすれ違いを軽減し、職場の文化や慣習を理解してもらうことで、外国人従業員が長く働ける環境づくりにつながります。
「外国人労働者の心身ケアと教育を支援する仕組み」のまとめ
全国的に外国人従業員の採用が進む中で、企業が直面する課題は言語の壁だけではありません。文化、習慣、価値観の違いが働き方やコミュニケーションに影響し、結果として誤解や不安を生むケースが増えています。さらに、体調不良や悩みを本人が伝えづらい環境では、離職につながる兆候に気づけないこともあります。
こうした状況において重要なのは、外国人従業員に“適応を強いる”ことではなく、“相互理解と支援の仕組み”を整えることです。日々の状態を把握し、適切なタイミングでの声かけ、必要な知識やマナーを言語化して段階的に伝えることで、従業員は安心して働けるようになります。結果として、定着率の向上や戦力化にもつながり、企業側にとっても大きなメリットとなります。
従業員エンゲージメント向上支援クラウドサービス「ここレポ」は、心身の状態を可視化して適切にケアできると同時に、報告機能を通じて日本語やビジネスマナーの教育・理解支援ができる育成ツールとして活用できます。状況を伝えやすい環境をつくり、“気づかれないまま離職する”といったリスクを下げることができます。
外国人従業員の「長く働ける環境づくり」は、これからの労働市場においてますます重要な要素です。その実現に向けて、「ここレポ」はコミュニケーションのズレを埋め、育成とケアを同時にサポートできるツールとしてお役に立てます。
鈴与シンワートの従業員エンゲージメント向上支援クラウドサービス「ここレポ」では、人事担当者に役立つ機能や業務サポートに力を入れています。お気軽にお問い合わせください。





